東北電力中学生作文コンクール 優秀賞を受賞!

7年生女子生徒が東北電力第48回中学生作文コンクールにおいて、新潟県の最高賞である優秀賞を受賞しました。タイトルは「父から学ぶ」。「努力すること」をテーマに、目指す夢に向かって懸命に努力する父の背中を、尊敬のまなざしで見つめる娘と、娘の問いに真摯に応える父の言葉。兄の結婚で飾られた、たくさんの真っ白な百合の花から感じた、父から兄への祝福の思い…。

全文を紹介します。少し長いですが、ぜひ御一読ください!

 

私は幼い頃から百合に囲まれて生きてきた。なぜなら、父が百合農家だからだ。四六時中、百合と向き合い、百合と共に生きる。朝四時半から畑に向かい、五時からは収穫。収穫した百合を出荷場に持ち帰り、水揚げを行う。八時から出荷用に向けて束ね作業、そして十六時まで出荷。十六時半から十七時半まで植え込み、管理作業。夏場はこのようにして、早い時は夜の八時、遅いときは二十三時まで作業をしている。そんなふうに毎日忙しい父に対して不満を抱いたことはない。運動会に来てもらえなくても、遊びに連れて行ってもらえなくても、父は頑張っていると分かっていたし、できる限り、私と関わる時間を作ろうとしてくれているのが伝わっているからだ。仕事と私、どちらも大切にしてくれている。だからこそ、そんな父のことを私は努力家として尊敬している。しかし、それと同時に、「私にはできない努力のやり方だなあ。」とも思っている。私には毎日、長時間暑さと戦うことなんて到底できない。だから、「やはり、父の仕事を継ぐことはできない。」と思っている。

「努力」と一言にすると、同じものに思えるけれど、「努力」の方法や意味は、いろいろありそうだと感じるようになった。

そんな、ある時、「勉強ってどうやってる?」と、友人に聞かれた。その時は、私の勉強法を伝えたが、その後、改めて考えてみると、人に努力のやり方を教えるのは、本当にその人のためになるのかと疑問に感じた。というのは、人それぞれ、自分に合った方法があると思うからだ。

努力の方法について疑問に思い、父に二つ聞いてみた。

まず、「自分に合った努力のやり方」だ。「努力とは積み重ねの結集であり、とにかく時間をかけて粘り強く取り組む事だ。」と、父は言う。私から見た父は心配になるほど、百合に無我夢中で、人生を百合に捧げているように思える。

二つ目に聞いた内容は、「自分が努力したことで成功したと思うこと」だ。父の一番の成功は、「神奈川県のメーカーと協力し、百合の花を長持ちさせる処理剤の開発に、五年掛けて、やっと全国に認めてもらえたということだ。」と言う。

私からしたら、努力は量ではなく、毎日続けられるかを大切な基準だと考えているので父の考えとは少し違うなと感じた。そして、私からしたら、五年も続けて同じ事を追い求める事が信じられない。それだけの長い期間、一つのことを追い求めるというのは、私は、あまり得意ではない。とても父のように努力することはできないと思う。

日々、頑張る父の姿を見て、私は父が努力できるのは、「成し遂げたいこと」、「目指す夢」があるからだと感じた。父にとっては、それが「美しく、長く咲く百合」なのではないか。「成し遂げたい。」と思う気持ちの強さが、努力の仕方につながっていく。頭で考えて当たり前のことだが、実際に父の姿から、これが、私の心に響いた。

冒頭で、私は「父を尊敬している」と言ったが、そう感じた、ある出来事がある。兄の結婚式の時だった。式場に華やかに飾られた、たくさんの百合。真っ白な百合。それを見て感動した。その時、幼いながらに、私は「百合は父の努力の結晶だ。」と心から思った。そう考えてみると、百合で輝く式場は、より一層綺麗に見えた。父の、兄への祝福の思いが会場一杯に広がっていた。

今、私には、父のように「成し遂げたい」と、強く思うものは、まだない。日々、目の前のことに精一杯取り組んでいるだけだ。しかし、「努力している」ということについては、程度の差はあれ、父と同じだ。父には父の努力の仕方があるように、私には、十三歳の今の私ができる努力の仕方があると思う。

今後、「成し遂げたい」と強く思うものが見つけられるかもしれない。また、たくさんの「努力をしなくてはならない場面」が訪れるかもしれない。そんなときは、父から学んだように、自分なりの努力のやり方で一歩ずつ成長していきたい。